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やけど(熱傷)とは?

やけど(熱傷)は、高温の物質や水蒸気に触れた後、皮膚や粘膜が損傷した状態です。主に火災や爆発によるやけどをイメージしますが、家電、薬品、落雷、飲み物も原因になり得ます。特に冬になると、ヒーターやこたつなどの家電に長時間触れることが増えるため、子供から大人まで低温熱傷を発症する可能性が高まるのです。
やけどは、その深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度へ分類され、症状や治療方法が異なります。Ⅰ度からⅡ度であれば、皮膚の表層、真皮までに留まった状態なので命に関わることはなく、多少の傷跡が残る可能性はありますが軟膏処置によって完治を見込めます。
最も深刻なⅢ度の場合は、皮膚よりも深く脂肪や筋肉まで到達した状態ですので、迅速な植皮手術の検討が必要です。必要に応じて専門機関に搬送いたします。
やけど(熱傷)の程度・症状
やけどの症状は、その深さによって異なります。
Ⅰ度熱傷
皮膚の表層に留まるやけどの場合は、以下の症状が現れます。
- 皮膚の発赤、充血、腫れ
- ヒリヒリとした皮膚の痛み など
Ⅱ度熱傷
皮膚の表層からやや進行し、真皮に留まるやけどの場合は、以下の症状が現れます。
- 皮膚の発赤、腫れ
- 激しい痛み
- 水疱
- 患部から透明の体液が染み出る など
Ⅲ度熱傷
真皮を超え、筋肉などの皮下組織まで進行した場合は、以下の症状が現れます。
- 痛みを感じない
- 皮膚が突っ張る感覚
- 体毛が抜け落ちる
- 皮膚が白、黒、赤とまだらに変色する
- 脱水症状
- 発熱 など
やけど(熱傷)の原因と種類
やけど(熱傷)の原因
- 火災、爆発
- 落雷
- 長時間の日焼け、サウナ
- 湯気、水蒸気
- 加熱後の飲食品
- アルカリ性の薬品
- ヒーター、こたつ等に長時間接触する など
やけど(熱傷)の種類
- 熱傷:高温の物質へ接触して生じる
- 低温熱傷:40~60℃の低温物質に長時間接触して生じる
- 化学熱傷:アルカリ性など刺激性の高い化学物質へ接触して生じる
- 電撃傷:落雷・感電によって生じ、心臓などの深部へ障害を与えうる
やけど(熱傷)の検査
以下の検査を行い、やけどの重症度、範囲、全身状態を評価します。
熱傷深度測定
熱傷深度は、皮膚の構造(表皮、真皮、皮下組織の順)に沿って、以下の基準をもとに判断します。
- Ⅰ度熱傷:表皮のみの熱傷
- Ⅱ度熱傷:真皮までの熱傷
- Ⅲ度熱傷:真皮すべて、また皮下組織まで及んだ熱傷
熱傷面積測定
熱傷面積は、複数の測定法を使い分けて調べます。
- 9の法則
- 5の法則
- 手掌法
手掌法の場合、手の平の大きさが体表面全体の1%と仮定し、体表面積の何%にまで熱傷が広がっているかで判断します。
血液検査
熱傷後は脱水症、炎症、感染症などのリスクが高まるため、血液検査によって全身状態を評価します。
やけど(熱傷)の治療
やけどの治療は、まず応急処置で症状を緩和します。その後、状態に応じて軟膏による治療、内服薬の処方、外科手術などを行います。
当院は主にⅠ度やⅡ度のやけどに対応しており、軟膏塗布や内服薬処方を行います。
応急処置
応急処置と処置時の注意点は、以下の通りです。
ご家族やご自身での対応が難しい場合は、無理をなさらずにお早めに当院へご連絡ください。
- 洋服は無理に脱がない
- 指輪、時計などを外しておく
- 水道水を衣服の上から流水する
- 水疱は破れないようガーゼ等で保護する など
軟膏塗布・内服薬
主にワセリン、ステロイド外用薬を使用し、皮膚の保湿と炎症抑制をはかります。
また熱傷による感染症のリスクが高い場合は、抗生物質の内服を検討します。
外科手術
Ⅲ度熱傷を負っている場合に適応されるのが、外科手術です。
皮膚を移植する植皮手術が代表的ですが、このような治療が必要な場合は近隣の専門機関と連携し、迅速に搬送いたしますのでご安心ください。